新宿けやき園入所者様にとって、褥瘡(床ずれ)は気をつけなければならない存在です。とにかく痛い!皮膚が破れているのだから当たり前です。
特に高齢者は、肌のハリが減り、乾燥しやすく、感覚も鈍くなります。そして体動が少なくなり、血流が滞りがちになります。また、手助けが無いと同じ姿勢を続けてしまうことがあり、集中的に体の重みの圧がかかって、すぐに皮膚が裂けてしまいます。栄養の摂取量や吸収量も減るので、褥瘡の治りも遅いようです。
褥瘡を撲滅するため、新宿けやき園では、開設当初から「褥瘡予防対策委員会」を設置しています。
「褥瘡ができないようにするための予防」を主として、その計画、対応を話し合っています。目標は褥瘡発生率0%!
現在は入所者様全体の2~3%の方に褥瘡が見られますが、介護職員の手厚い介入、リハビリ職員の介入、看護師の処置、医師への相談等を通して、密な連携を取りながら褥瘡予防と治療に努めています。
今回は、施設がどのように褥瘡予防に取り組んでいるのか、その一部を紹介させていただきます。
寝る姿勢、座る姿勢は個人で異なるもの。入所者様の身体的負担を軽くし、褥瘡予防となる姿勢を個別に考えて共有しています。
写真はエアマットのポンプです。ビニール製のマットに空気を送り続けることで、寝ている姿勢の身体の圧を分散します。エアマットは柔らかいので、体動の少ない方に使用します。ベッド上に座ったりする方は、バランスがとりにくくなるので向きません。
個人にあったマットを選択することで、褥瘡予防につながります。ベッドの頭部や足部をギャッヂアップするような方は、エアマットは不向きなので、こちらのアクアフロートを使用します。中に水溶液パックが入っており、柔らかい感触です。
座っている時にお尻へのダメージを軽減するクッションは、様々なものがあります。この写真のクッションは、小さな空気のパックがたくさん詰まっているタイプのものです。皆様座っている時間が長いため、こういったものが必要な方もおられます。ただ、いいものなのでお値段は高いですね。
こちらは三角形になっているクッションです。横向きの姿勢をとれないかたの姿勢保持に使います。
褥瘡委員会の最近のおすすめはコチラ。 傷の治癒にはたんぱく質が有効と言われていますが、高齢になるとなかなか十分な量を摂取できなくなるもの。粉状のプロテインを食べ物や飲み物に混ぜて摂取することで、褥瘡の治りを促進します。使用してから褥瘡が良くなったという事例も確認しました。いいものがたくさん出てきて選びようがあるということは、本当に良いことですね。
一口に褥瘡と言っても、その大きさや発生する箇所、治りが悪いかたや良い方等、様々な状況が存在します。今回は、物品を中心に紹介させていただきましたが、基本的にはマンパワーが充実していないと、予防も治療もままならないものです。入所者様にとって、痛くてつらい褥瘡と戦う為、褥瘡予防対策員会は日々奮闘しています!